1年目は就職してみたものの「あれ?ITの仕事ってこんな感じなの?」と期待値ギャップが大きい時期でもあります。
この記事は「転職しようか迷っている新卒1年目のITエンジニア」に向けたアドバイス記事です。
結論から言うと、1年目でさっさと転職する、しないは人によって正解が異なります。
ご自身の状況、この記事から転職の判断材料を得た上で決断をしてください。
目次
1年目のITエンジニアは実務を経験してから転職するべき
1年目のITエンジニアの転職タイミングは「ちょうど1年業務を経験したあと」に転職することをおすすめします。
なぜなら、会社の業務は1年単位で回っていることが多く、1年間業務に携わることで大まかな業務の流れやイベントなどを経験することができるからです。
1年目で経験した業務は次の転職先でも役立てられます。
なので特段の事情がない限り1年を目安に考えるとよいでしょう。注意点として、新卒ITエンジニアの多くは研修期間が設けられるものですが、研修の期間中は転職しないことをおすすめします。
なぜなら、研修の期間中はほとんど実業務に携われないため、本来の仕事内容を経験することがないまま転職することになるからです。
実務経験がない状態で転職する場合、次の転職先を探すときに苦労します。転職市場は新卒就活と違って「実務経験」が判断材料に入ってくるからですね。
しかし、自分自身の精神が耐えられないような状況であれば、無理せず辞めるべきです。
自分を押し殺しすぎて精神的に参ってしまうと、復帰するまでに多くの時間を要することになります。あくまでも1年は目安として、あなたの精神状態や環境によって判断しましょう。
ITエンジニアが1年目で転職してOKな例
「新卒のITエンジニアは1年を目安に転職を考えるべき」とお話ししましたが、1年内に転職してもOKな状況もあります。
ここでは、転職してOKな5つの例を紹介しますので、参考にしてみてください。
プログラミングが向いていないとわかった
ITエンジニアにとってプログラミングは重要な能力と言えます。
プログラマーはもちろんのこと、他の職種においてもプログラミングスキルは必要とされる場面が多いからです。プログラミングは向き不向きがあるため、どうしてもプログラミングに向いていないと思ったら、転職を考えてもよいでしょう。
ITエンジニアにとってプログラミングスキルは必須とも限りません。たとえば、インフラエンジニアやクラウドエンジニア、セールスエンジニアなどはプログラミングスキル以外のITスキルが重要です。
ITエンジニア=プログラマーと考える方も多いものですが、そのほかにもさまざまな職種がありますので、同業他職種への転職を考えてみてはいかがでしょうか。
ハラスメントにあっている
職場でハラスメントにあっている場合は転職を考えてよいでしょう。
泣き寝入りがイヤな場合は公的機関に相談する。ハラスメントをしている人間の上司、更に上の上司に現状を伝えるなどの方法があります。
ITエンジニアはコミュニケーションが必須であり、仕事のしやすさはコミュニケーションの取りやすさと直結します。
ハラスメントにあうことで、本来発揮できるはずのあなたの能力を十分に発揮できていない可能性も考えられます。今の会社では評価が低くとも、転職した会社で高評価を受けることも十分に考えられるのです。
心身の健康が第一です。1年目であっても転職して次の会社で働くことは可能ですので、ハラスメントにあっている場合は、1年目でも転職して問題ありません。
常駐先の職場環境に耐えられない
ITエンジニア(特にSE)は自社内より客先に常駐して仕事をすることが多いです。
「ハラスメントにあっている」と同じような状況ですが、常駐先の環境にどうしても耐えられない場合があります。3ヶ月~1年周期で常駐先が変わりますが、次の常駐先は仕事がしやすいとは限りません。
まさに常駐先ガチャですね。
クラウドサービスを開発する企業が増えてきています。自社内で業務ができるIT企業も多く存在しているため、今の職場環境に耐えられなかったり、常駐先によって職場環境が左右されることが嫌だったりする場合には転職を考えてよいでしょう。
会社の経営状況が良くない
所属する会社の経営状況が良くない場合も転職を考えて良い例です。
新卒1年目のあなたでも経営状況が良くないことが分かるような場合は非常に危ないと考えてよいです。
給料の支払いが遅れたり、支払われなかったりする場合には、すぐに転職することを考えるべきです。対応が遅れて会社が倒産したあとに転職活動をする場合、すぐに就職先が見つからなければ生活することも難しくなるからです。
倒産した会社にいた人は「縁起が悪い人はイヤだ」「運が悪そうな人は雇いたくない」などの理由で選考で不利になるケースもあります。
「経営がヤバイ」のを知ったら倒産する前に転職活動を始めましょう。
どうしてもやりたいことがある
ITエンジニア以外にどうしてもやりたいことがあったら、それは十分な転職の理由です。
人生は一度しかありません。やりたいことがあるのに行動しないままでは、いつまで経っても状況は変わりません。
新卒1年目のITエンジニアは20代前半です。20代であれば即戦力よりも情熱、やる気、ポテンシャルといった部分も重要視されるため、他業種への転職も行いやすいものです。
30代以降ともなると、即戦力が求められることが多いです。どうしてもやりたいことがある場合は1年目で転職して再スタートを切りましょう。
新卒1年目のITエンジニアが転職するメリット
新卒1年目のITエンジニアが転職するメリットを5つ挙げます。
転職を考えていてもなかなか踏み出せない人は、ぜひこのメリットを把握して転職判断に活かしてください。
人手不足な業界であるため転職環境は良い
IT業界は慢性的な人手不足です。
経済産業省が公表した資料によれば、2030年までにITエンジニアは最大で約79万人が不足すると試算されています。この資料からも分かる通り、ITエンジニアは大幅に不足している状況なのです。
そのため採用しようとするIT企業は多く、1年以下でもITエンジニアとしての実務経験があれば転職しやすいといえるでしょう。
参照元:IT人材受給に関する調査(経済産業省委託事業-みずほ情報総研).pdf
第二新卒枠が狙える
第二新卒とは学校を卒業後1~3年以内で転職や就職を希望する若手求職者のことを表します。
新卒者が就職後に数年で離職する割合は意外と多いものです。厚生労働省が公表している資料によれば、大学卒業者の3年以内の離職率は約30%ほどであり、3人に1人は、数年で離職していることがわかります。
そして、マイナビの調査によれば第二新卒は6割強の企業が積極的に採用しているとのこと。
日本企業の文化として新卒採用が重要視されていますが、近年では第二新卒も同様に扱われることが多いのです。なので新卒1年目のITエンジニアも第二新卒枠が利用でき、有利な転職活動が可能です。
参照元:新規学卒者の離職状況(厚生労働省)
参照元:第二新卒とは?(マイナビジョブ20’s)
給与が下がる可能性は少ない
新卒1年目のITエンジニアであれば、給与は入社時からほとんど変動していないでしょう。
なので転職しても下がる可能性は低いと言えます。30代以降の転職では給与が下がる例もありますが、新卒1年目のITエンジニアはその可能性はほとんど無いでしょう。
反対に1年目だと転職で給与が上がる可能性も少ないです。ただ、転職先によっては数年で大きく上昇できるところもあります。
給与は仕事をする上で最も気にすべき項目です。給与に心配があまりない点は、新卒1年目で転職する際のメリットと捉えられるでしょう。
若いので転職先や異業種でやり直せる可能性が高い
30代以降になると、それまでの経験から新しい考え方や仕事スタイルに適応することが難しくなります。
若いうちは考え方や仕事スタイルを柔軟に変更できます。そのため、新たな転職先でも馴染みやすいといえるでしょう。
また、異業種に転職する場合も、やる気や情熱があれば前職でうまく行かなかったとしてもやり直せる可能性が高いものです。30代以降で異業種に転職した場合、先輩や上司が年下になることもあり、素直に指示通りに業務ができない可能性も考えられます。
若いからこそ新しい職場に馴染みやすく、やる気、情熱、スキルの上昇、実力が付きやすいです。
新卒1年目でまだ若いのは転職する際のメリットとなり得ます。
社会人としての基本マナーがある
学校を卒業したばかりの新卒者と比べて、新卒1年目は社会人としての基本マナーが身についている状態です。
社会で働く者として、基本マナーの有無は大きな差となります。
転職先の企業としても基本マナーをゼロから教える必要がなく、業務内容に集中して教育できるため重宝されることが考えられます。第二新卒が好まれる理由の一つでもあり、新卒1年目のITエンジニアが転職する際のメリットとなるのです。
新卒1年目のITエンジニアが転職するデメリット
新卒1年目はメリットがある反面、デメリットも存在します。
ここでは、転職する際には気をつけなければならないデメリットを2点紹介します。
採用する企業は警戒心がある
第二新卒を積極的に採用している企業もありますが、ネガティブなイメージを持たれる可能性もあります。
特に前職の在職期間が1~2か月とあまりにも短い場合は忍耐力がないと見られてしまうかもしれません。
採用する企業側は、採用した後すぐに辞められてしまうと困るため、「1年~数年在職した経験がある人の方を採用したい」と考えることは仕方がないことでしょう。
1年未満で転職する際は企業から警戒される可能性が高いことを頭に入れつつ転職活動を行いましょう。
「なぜ転職活動をしているか?」などの退職理由は転職時の面接で必ず確認されます。しっかりと回答を用意しておきましょう。
ITスキルが低いと転職に苦戦する
ITエンジニア職は慢性的な人手不足です。
未経験者でも積極的に採用されているとはいえ、良い処遇で転職するためにはITスキルは必要不可欠です。そのため、実務経験とあわせてITスキルも磨いておかなければ転職に苦戦することが予想されます。
IT業界はITスキルがあまりいらないような職種も存在します。しかし、そのような職種は裏を返せば「誰でも良い」ということであるため、あまり処遇はよくありません。
転職に際して、仕事内容などを理由に転職する場合は、特にITスキルを磨いておく必要があります。
1年目ITエンジニアが転職に失敗しないための注意点
ここまでに1年目のITエンジニアが転職する際のタイミング、メリット・デメリットを紹介してきました。
しかし、これから紹介する注意点を頭の中に入れておいてください。注意ポイントを把握しておかないと転職に失敗してしまう可能性があります。
本当に転職が必要な状況か再度考える
転職は多くの人が一度は考える手段の一つです。
しかし、現在の環境を変えるための最終手段と考えるべきでしょう。もしかしたら、本当は転職せずとも環境を変えることは可能かもしれません。
たとえば、プログラミングをするプログラマーとして働いていて「プログラミングに向いていない」と考えていたとしましょう。その場合「プログラミングに向いていないからITエンジニアに向いていない」と短絡的に考えて転職しようとするのは間違いです。
ITエンジニアはプログラマーだけではありません。
インフラエンジニアやクラウドエンジニアなど、プログラミングをメインにしない職種が多く存在します。会社の中で部署異動するだけで解決する問題である可能性もあります。
転職は現在の環境を変えるための最終手段として考え、取りうる最善の手段であるかを再度考えた上で結論を出しましょう。
転職の候補先がブラック企業か確認する
転職を決めたあとは、転職先の候補がブラック企業でないことを確認します。
転職すればすべてが解決すると考える人も多く存在しますが、転職先が現在の職場よりも悪い環境の可能性もあるのです。
最近ではインターネットで簡単に企業の情報を調べることができます。転職先の候補をいくつか見つけたら、企業の口コミを集めたサイトでブラック企業かどうか確認してみましょう。
実際にその企業で働く社員の口コミが載せられているサイトがあるため、転職前の事前調査として実施することをおすすめします。
企業の情報を調べる際は、OpenWorkや転職会議などの口コミサイトを利用しましょう。
ネガティブな退職理由をそのまま話さない
転職する際には必ず退職理由を確認されます。
その際、退職理由を「会社のせい」にすることのないように気をつけましょう。なぜなら、「嫌なことがあると会社のせいにしてすぐに辞めてしまうかもしれない」と思われてしまう可能性があるからです。
自分自身にも非があることを認め、退職理由に論理的な筋が通るようにまとめておく必要があります。他人が聞いても納得のできる退職理由とし、会社のせいにすることのないように注意しましょう。
職務経歴書はプロにチェックしてもらう
新卒の就職活動時と異なり、転職時には職務経歴書が必要です。
職務経歴書はあなたが今までにどのような仕事をしてきたかをまとめた書類となります。転職時は特に職務経歴書を中心に見られることになります。
スキルや実績をアピールする書類となるため、しっかりと記載しなければなりません。
しかし、普段作成することのない書類です。転職活動も初めてです。インターネットで調べただけでは正しく書けない可能性も考えられます。そのため、転職支援のプロにチェックしてもらうことが最も効果的です。
転職支援を行っている企業を転職エージェントと呼びます。転職エージェントでは転職に関するさまざまな相談ができます。転職先の紹介だけでなく、職務経歴書のチェックや面接対応など、転職する際に必要な準備が行えます。
職務経歴書も転職のプロである転職エージェントにチェックしてもらうことで、洗練された魅力的な書類に仕上がります。
初めての転職は転職エージェントを利用するのがおすすめ
転職が初めての人は転職エージェントを利用するようにしましょう。
転職エージェントのメリットは以下の通りです。
- ネットにない非公開求人を紹介してくれる
- 書類の添削、模擬面接を実施してくれる
- 企業に推薦状を書いてくれる
応募できる企業が増え、選考のサポートもしてくれ、企業にプッシュもしてくれます。利用しないと損とも言えるサービスです。
転職エージェントの利用状況を調査したところ、求職者は平均して2.33社の転職エージェントを利用していました。
転職することを迷っている人でも大丈夫です。エージェントから紹介を受けている内に転職先が決まる人もいますので。
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