IT系の仕事に就職・転職したいけど、イマイチ仕事の中身が分からない。
プログラミングは必須なの?
その仕事はブラックじゃない?
スキル身につく?
と疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
そんなIT業界の中身を知りたいという人に向けて、仕事内容を体験談ベースでご紹介します。
実際にIT業界で働かれている人に仕事内容をインタビューしました。
今回は『サポートエンジニア』のお仕事をご紹介したいと思います。
IT業界に就職・転職したい人はぜひ参考にしてください。
目次
女性サポートエンジニアY・Oさんのプロフィール
新卒でサポートエンジニア職に就いて3年目です。企業向けのソフトウェア開発会社に勤めています。
地方国立大の文系学部卒で、ITに関する予備知識は0の状態で入社しました。幼い頃からコンピュータに苦手意識がありましたが、数学・計算は苦痛でないタイプです。
2年目の時に昇格・昇給してチームのサブリーダーになりました。
現在は顧客先に常駐して仕事をしています。
サポートエンジニアの仕事内容をインタビューしました
顧客から感謝される仕事、けど専門性の高いスキルが身につかないのが悩み
結論からになりますが、今の仕事はご自身にとってやりがいのあるお仕事ですか?前向きに取り組めるお仕事でしょうか?
はい、やりがいのある仕事です!しかし、前向きに取り組めるかと聞かれると、NOですね。
顧客と直接やりとりする機会が多いので、自社製品がユーザーの役に立っているところを間近で見る場面が多く、やりがいを感じます。
顧客から「いてくれて助かった、ありがとう」と直接感謝されることもあるので、自分の仕事に誇りを持っています。
「またY・Oさんをプロジェクトメンバーに入れてください」と顧客から名指しで指名いただけたときは、思わずガッツポーズしました 笑。
お客様から面と向かって感謝されたり、必要とされたりするのにやりがいを感じる、ということですね。
ただ、仕事内容が単純でスキルアップしないのが悩みです。
ソフトウェアの操作や設定がメイン業務なのでプログラミングすることはありません。SIerのような仕事でもあるので、資料作りも多いです。
身につく能力は自社製品への知識とビジネス用のコミュニュケーション力だけなんです。今後のキャリアを見据えて転職を考えた時期もあります。
動作テストのような単調作業やクレーム対応が続くときもあって、そんな時は現場に行きたくないと思う日もありました。
なるほど、簡単で単調な作業がネックということですね。特定のソフトウェアに詳しいだけだと、市場価値とかキャリアを考えた時にどうしてもネガティブになってしまいますよね。
プログラマーはいったん挫折、エンジニアに近い仕事からスタート
サポートエンジニアのお仕事に就いた理由などあれば教えてください。
新卒で入社した後に「プログラミングは苦手だけれどなるべくエンジニアに近い仕事がしたい」と希望を伝えました。それで現在のサポート部門に配属されました。
入社前に思い描いていたのは、「ソフトウェア開発のプログラマーとしてキャリアを積んで、いずれは結婚して退職して、在宅ワークする」という人生計画でした 笑
ただ、入社後のプログラミング研修を終えて「自分はプログラミングのセンスがないな」と思いました。
それで、当初の人生計画からは脱線して、まずはサポートエンジニアから始めようと思いました。
今振り返ると、サポートエンジニアの仕事は経験や知識を積んで他部署へ異動する足がかりとして最適な仕事だと思っています。
- 自社製品の知識を身に付けられる
- 顧客の思考・要求がわかる
- ソフトウェア開発者と人脈を作れる
というメリットがありますので、会社内でステップアップしていくなら、努力次第でどの部署でも必要とされる人材になれると思います。
プログラミングは向き不向きがありますからね。IT業界は職種がいっぱいあります。自分の向いてそうな分野に進んだ方が伸びも良いです。すぐに切り替えて正解だったと思いますよ。
客先常駐がつらい
今のお仕事の不満、デメリットなどあれば教えて下さい。出来るだけ正直に 笑
正直にですね 笑
- 客先常駐がつらい
- 自社の製品知識は身に付くが技術が身につかない
が大きな不満ですね。
仕事の忙しさに波があって、作業や問い合わせが多い日もあれば、全く連絡のない日もあります。客先に常駐する働き方だったので、暇な日にも客先で作業をするのが苦痛ですね。
常駐先まで通勤に片道2時間かかっていたときは参りました 笑。往復4時間はキツイです。
クレームを貰いやすい仕事なので、サボっているように見られないよう、不信感を与えないように、常に行動に気を配るのにも気疲れしますね。
逆に作業がない日は楽だ、という人もいますね。このあたりは人によって分かれると思います。どちらにしても自宅から遠い現場は嫌ですよね。
ソフトウェアを操作・設定する仕事なので、自社製品の知識は身につきます。ただ、プログラミングのようにIT業界全体で通用するスキルは身につきません。
もし転職するなら、他で通用する技能を自ら学ばないといけないですね。
おっしゃる通りですね。
実はちょっと前に転職活動をしていました。実際に転職はしませんでしたが。
その時に転職エージェントに言われたのが「システム開発の知識・経験がないから、前職がIT業界でもSEにキャリアアップ転職するのは難しい」と言われました。
これもおっしゃる通りですね。特定のソフトウェアの使い方を知っているだけでは厳しいかと思います。キャリアアップ転職をするなら勉強が必要ですね。
顧客サポートとソフトウェアの操作設定が主な仕事
実際にどんなお仕事をされているのですか?サポートエンジニアの仕事内容について教えてください。
ソフトウェアを顧客企業の要望に合わせて設定したり、パラメータを変更する仕事です。例えば、「交通費申請という機能を使いたい」という要望があった場合は、利用パラメータをオンにして、ドラッグアンドドロップで画面を作ります。
ソフトウェアの仕様さえ分かれば誰でもできると思います。
もうちょっと言うと、
- プロジェクトの作業をスケジュール通りに進める
- 設定箇所の資料やマニュアルを作成する
- プロジェクトの進捗を自社内のプロジェクトメンバーに共有する
- 顧客からの問い合わせに解答する
- システムトラブルに対応する
と言った感じですね。
プロジェクトの進行管理はしっかりしていて、学べるところが多いなあと思っています。
SEさん達がやるように、要件定義 → 基本設計 → 詳細設計 → 設定 → テスト → 本番移行 → 本稼働 という感じで進めていきます。
プロジェクトマネジメントとか、SEのシステム開発の流れは勉強できるんじゃないかと思っています。
一番顧客に近い立場で仕事をするので、顧客のニーズを探って自社内に持ち帰る、顧客への自社のイメージアップに貢献する、がプラスαで必要とされますね。
そこまで難しい仕事じゃないけど、やることが多い。といった感じですね。ちなみに「ソフトウェアの市場価値が上がれば、Y・Oさんの市場価値も自動で上がる」と思いました 笑
ホントその通りですね 笑、営業に頑張ってもらわないと。
IT(特にSIer)業界の仕事の進め方・企業向けのコミュニケーション能力が身に付いた
サポートエンジニアの仕事をしているとどんなスキルが身に付くのでしょうか?
うーん、そうですね。先ほどとちょっと被ってしまいますが、
- 自社製品の知識
- IT業界(特にSIer)のお作法
- ビジネス用のコミュニケーション能力
ですかね。
自分自身で自社製品を触るうえに、顧客からの問い合わせに対応するため、担当する自社製品にめちゃくちゃ詳しくなります。
サーバーなどの自社製品のインフラも触るので、ITの素養がないところから基礎基本がわかるようになりました。
あと、システム導入・改修のプロジェクトにも関わることで、IT業界のシステム開発の流れを経験できました。
とにかく顧客とメール・電話・会話でやりとりをする機会が多いので、顧客とのコミュニケーション耐性がつきます。
わかりやすい説明を心がけたり、期限を設定してやりとりを円滑にしたり、相手に配慮した言い回しができるようになったなあと思います。
プロジェクトを円滑に進めるためのスキルが身に付いた感じですね。
ノンスキルOKな仕事内容だけど、転職で入る人はITの勉強が必要
サポートエンジニアになるためにはどんなスキルや勉強が必要なのでしょうか?
正直、「なるため」の勉強・スキルは必要ないです 笑
「なってから」製品と周辺機器の知識を学ぶ意欲・理解力が必要だと思います。その製品を好きになれるかが重要です。
あとは、相手を思いやったコミュニケーション能力が必須だと思います。
顧客とのやりとりは円滑にいかないことが多いので、クレームやプロジェクト遅延に繋がらないよう、好印象でうまく主導権を握ることが大事ですね。
メンバー内で困ったときに助け合える人間関係を作れること、細やかに報告・連絡・相談できることも大事ですね。
どの職種でも言えることですが、特にサポートエンジニアは顧客と自社内の板挟みにあうため、コミュニケーションが上手である必要があります。
ただ、私が入った会社はプログラミングなどのIT研修がありました。なので最低限の基礎は出来上がっていたのかもしれません。
転職でIT業界に入りたい人は勉強が必要だと思います。
おっしゃる通り、新卒の場合は研修が充実しています。日本は新卒一括採用の風習があるので、採用した後に企業が育ててくれるんですよね。ただ、転職の場合は違います。ある程度の即戦力性が求められます。
自分の力量を把握して、自分を管理できる人が向いている
サポートエンジニアはどんな人が向いているのでしょうか?逆に向いてない人は?
「自己管理能力の高い人」が向いていると思います。サポートエンジニア職は、対応が遅いだとか、言い方が分かりづらいだとか、些細なことでクレームにつながることが多いです。
プロジェクトの進捗を遅延させない、問い合わせに優先順位をつけて回答していく、といったスケジュール管理ができる人。
できることできないことを取捨選択して、できないことはできる人にさばく、といった自分の力量にあった仕事を調節できる人。
相手に合わせた伝え方ができる、相手からの信頼を落とす行動は避ける、といった自分の好印象を意識して行動できる人。
顧客から厳しくチェックされる仕事のため、作業順序・作業量・印象など、自己管理がきちんとできる人が向いているのではないかと思います。
ITコンサルタントになりたい
Y・Oさんは今後はどのようなキャリアを目指されていますか?考えていることについてお聞かせください。
ITコンサルタントを目指しています。
サポートエンジニア職で3年間キャリアを積んで、自社製品の設定知識、顧客の利用事例を多く得られることができました。顧客とのコミュニケーションも学べました。
今後は、サポートエンジニアが参加する設定フェーズよりも、もっとプロジェクトの上流から関わるコンサルタント職へ異動を考えています。
ITコンサルタントは、既存の顧客からニーズを聞き出して要件定義まで進める仕事です。
ざっくり言うと、サポートエンジニアは見えている問題を解決しますが、コンサルタントは見えていない問題を掘り起こして解決策を考えます。
サポートエンジニア職の上位互換のようなイメージで、顧客の悩みや業務の効率化に寄り添うことができるので魅力に感じています。
サポートエンジニアとして仕事をして、社内にコンサルタントとの人脈も作ることができたので、推薦をもらって異動することを企んでいます 笑。
なるほど、顧客とのコミュニケーションも鍛えられているし、プロジェクトの進め方も経験されているので、ITコンサルタントは良い選択ですね。
ホントですか、そう言って頂けて嬉しいです。
インタビューは以上になります。本日はありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
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